あっという間の122分間。
久しぶりにもう一度見たいと思う映画でした!
本作品は、第76回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で最高賞となる「金獅子賞」を受賞しました。
世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭)でアメコミ作品が最高賞を受賞するのは、初の快挙!
「これは絶対に劇場で観なければ!」と期待に胸を膨らませながら映画館に向かいました。
Contents
映画「ジョーカー」作品情報
joker
ジョーカー
<公式サイト>・<公式Twitter>・<公式Instagram>
劇場公開日:2019年10月4日
上映時間:122分
受賞歴:第76回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門『金獅子賞』
スタッフ・キャスト
監督
トッド・フィリップス
出演者
アーサー・フレック(ジョーカー):ホアキン・フェニックス
マレー・フランクリン:ロバート・デニーロ
ソフィー・デュモンド:ザジー・ビーツ
ペニー・フレック:フランセス・コンロイ
トーマス・ウェイン:ブレット・カレン
ブルース・ウェイン:ダンテ・ペレイラ=オルソン
アルフレッド・ペニーワース:ダグラス・ホッジ
ランダル:グレン・フレシュラー
ゲイリー:リー・ギル
ホアキン・フェニックスといえば、「グラディエーター」、「ヴィレッジ」、「サイン」ですね。
兄は「スタンド・バイ・ミー」で注目を浴びた俳優リバー・フェニックス。姉レイン・フェニックス、妹サマー・フェニックスも女優として活躍する役者一家です。
また、監督のトッド・フィリップスは人気コメディ「ハングオーバー!」シリーズが有名です。
アーサー・フレック(ジョーカー):ホアキン・フェニックス
二人暮らしの母からの「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という言葉を胸に、コメディアンを夢見る孤独だがピュアで心優しい男
マレー・フランクリン:ロバート・デニーロ
自身の番組「マレー・フランクリン・ショー」の司会者であり、アーサーが憧れる大物コメディアン
ソフィー・デュモンド:ザジー・ビーツ
アーサーと同じアパートに住み、ひとり娘を育てるシングルマザー。アーサーが好意を寄せる女性。
ペニー・フレック:フランセス・コンロイ
アーサーの母親。30年ほど前まで資産家トーマス・ウェインのもとで働いていた。
映画「ジョーカー」あらすじ
人を笑わせることが大好きでピュアで心優しい男アーサーは、病に苦しみながらもなんとか母親と2人で生活をしていた。
そんな彼に対して世の中は救いの手を差し伸べるどころかアーサーの存在を否定するかのように残酷な仕打ちばかり。
そして、ついに彼の中で何かが音を立て壊れていく…
アーサーが狂気に満ち溢れる《悪のカリスマ=ジョーカー》に変貌するまでの悲しくそして衝撃の真実が明かされる!
映画「ジョーカー」ストーリー(ネタバレあり)
まだ映画を観ていない人はご注意ください。
人を笑わせることが好きな道化師
舞台は1980年代のアメリカ「ゴッサムシティ」。
街は格差社会による不満で荒みきっていた。
主人公アーサーは人を笑わすことが好きでコメディアンになることを夢見ていた。
ピエロ派遣の会社で大道芸人として働く彼は、その日、楽器屋の店先で閉店セールの呼び込みを行なっていた。
街ゆく人が通り過ぎる中、不良がアーサーの持っている看板を奪い、必死に追いかけたアーサーは人のいない路地でフクロ叩きにあってしまうのだった。
カウンセリングに通うアーサー。
彼は脳や神経の損傷によって突然笑い出してしまう病と闘っていた。
カウンセラーから日記を書くよう指示されていたが、コメディアンになりたいという夢を語ったアーサーが出したノートには彼の考えたジョークが書き綴られていた。
家への帰宅途中のバスで、前の席にいた子供がアーサーを見つめてきたのでアーサーは滑稽な顔をして子供を笑わせていた。その母親から「構わないで」ときつく止められるとアーサーは突然笑い出し、怪訝な目で見られてしまう。
アパートに帰宅したアーサーは、トーマス・ウェインから手紙が届いてなかったかと母親ペニーに聞かれる。
ペニーは過去に大富豪トーマス・ウェインの下で働いており、彼にこの苦しい生活を助けてくれるよう何度も手紙を送っていたのである。
テレビでエンターテイメント番組「マレー・フランクリン・ショー」が始まった。
司会者のマレー・フランクリンはアーサーが憧れるコメディアンだった。
マレー・フランクリン・ショーの客席に座っているアーサー。
マレーとの絡みから面白いと大絶賛されたアーサーは舞台上に招かれる・・・
次の日、アーサーが仕事の準備をしていると同僚のランダルから護身用にと銃を渡される。
同僚ゲイリーからボスが呼んでいると聞かされたアーサーがボスの元へ行くと、楽器屋の看板を返却するように言われ、不良に襲われ看板を奪われたことを知っていながら、「返せないなら給料から差し引く」と言われる。
アパートへの帰り、アーサーは怒りを抑えきれず路地裏のゴミを感情任せに蹴りまくる。
アパートに帰ってポストを確認するがやはり手紙は返ってきていない。エレベーターが閉まろうとしたところに同じアパートに住む女性ソフィーとその娘が駆け込んできた。
ソフィーに話しかけられたアーサーは彼女が自分に気があるものだと思い込んでしまう。
翌日、アーサーはソフィーを彼女の仕事場まで尾行するが、その夜、ソフィーがアーサーの部屋を訪れ「尾行してた?」と問いただす。
アーサーがジョークを言うと、「面白い人ね」と笑って帰っていった。
アーサーはコメディーショーに行き、コメディアンになるため勉強していた。
しかし、皆が笑うところでは笑わず、皆が笑わないところで笑っている。
無理やり皆が笑うところで笑ってみた。
小児病棟でアーサーは子供達の笑いに包まれていた。
しかし、子供達の前で不意にランダルから受け取った銃を落としてしまう。
このことが原因で仕事をクビになったアーサー。
アーサーはピエロの化粧も落とす気力もなく、そのまま帰りの地下鉄に乗る。
電車内では、1人の女性が3人の男性に絡まれている。
女性はアーサーに助けを求めるように視線を送るが、アーサーは突然の発作で笑い出してしまう。
からかわれたと思った3人組は、アーサーに殴る蹴るの暴行をするが、アーサーが銃で3人を射殺してしまう。
駅から走って逃げ、駆け込んだトイレの中で優雅に踊り出すアーサー。
人を殺してしまったことで彼の中で何かが目覚めてしまったのか。
アパートに帰るとアーサーはソフィーの部屋へ行き、いきなり彼女にキスをする。彼女もアーサーを受け入れ部屋に招き入れる。
荷物をまとめて会社を出て行くアーサーは、銃はランドルから渡されたものであることを同僚の前で告げるがランドルはアーサーから頼まれたと嘘をつく。
翌朝、ピエロによる地下鉄殺人事件のニュースでトーマス・ウェインがテレビに出演していた。
アーサーが殺した3人はトーマス・ウェインの会社の社員だった。
トーマス・ウェインは、3人がエリートであることの恨みからの犯行だ、仮面なしでは殺人もできないただのピエロだと皮肉を言う。
この発言で貧困層は富裕層への反感をより一層強いものとし、殺人犯のピエロが貧困層のヒーローとなっていたのだった。
アーサーが面談に行くと、市の予算削減の一環で福祉施設が閉鎖されるとカウンセラーから聞かされる。
話す相手も、病を抑える薬も、アーサーを抑えていたものはこの時なくなってしまったのだ。
念願のコメディアンデビュー
アーサーはコメディーショーの舞台に出演できることになった。
しかし、笑いを抑えることができずなかなか話すことができない。
そのコメディーショーの客席にはソフィーの姿があり、アーサーをみて微笑んでいる。
ショーは笑いに包まれて終わった。その後、ソフィーと食事へ。
ソフィーとのデート中、殺人ピエロ逃亡中の新聞記事を目にする。
貧困層はもちろん、ソフィーも殺人ピエロを支持していることをアーサーは知る。
帰宅したアーサーは母親ペニーからトーマス・ウェイン宛の手紙を投函しておいてくれと頼まれる。
アーサーは隠れて手紙の封を開け、そこに書かれていた内容に驚愕する。
なんと「私とあなたの息子を助けて」と書かれていたのだ。
母親が今まで真実を隠していたことに激昂し、母親を問いただす。
すると、30年ほど前にトーマス・ウェインの下で働いていた時に2人は恋に落ち子供ができたと言う。
しかし、身分の差からその関係を切られたというのだ。
アーサーは、トーマス・ウェインの自宅へ行き、庭にいたトーマス・ウェインの息子ブルース・ウェインに話しかける。
それを見つけた執事のアルフレッドが止めに入ったため、アーサーは自分がトーマス・ウェインの息子だと告げる。
アルフレッドは「あの女の息子か、あの女はイカれている」と言い、アーサーを追い返した。
アーサーが帰宅するとペニーが救急車へ運ばれていた。脳卒中で倒れ入院することとなった。
以前小児病棟に銃を持ち込んでクビになったことを聞き込みで知った警察は、病院の前でアーサーを問いただすが、ただの小道具だと言い張り、母親の病室へ向かう。
母親の病室では、アーサーとソフィーが椅子に座って、眠る母親を寂しそうに見つめていた。
「きっと元気になる」そう言ってソフィーはコーヒーを買うために部屋を出た。
眠り続ける母親と2人きりになった病室のテレビに2人が大好きな番組「マレー・フランクリン・ショー」が映し出された。
なんとそこにはコメディーショーに出演した時のアーサーの映像を流し、”ジョーカー”と呼び小馬鹿にしながら笑いを取るマレー・フランクリンの姿があった。
アーサーは尊敬していたコメディアンに笑い者にされていたのだ。
街では富裕層に対する抗議が過激化しており、トーマス・ウェインがいるシアターの前にはピエロのお面や化粧をした貧困層で溢れかえっていた。
その脇からアーサーはシアターに入り込み、従業員に変装してトーマス・ウェインに近づいた。
放映されるチャップリン映画を鑑賞しながらトーマス・ウェインを監視するアーサー。
トーマス・ウェインがトイレに立った時にアーサーは従業員の服を脱ぎ捨てトーマス・ウェインに話しかける。
アーサーが母親の名前を出すとトーマス・ウェインは
「母親とは何もない」
「お前は彼女の養子だ」
「私の息子ではない」
「イカれた女だ」
とペニーを侮辱し、金が欲しいのかとアーサーを怒鳴る。
アーサーは「ただハグして欲しい、優しい言葉をかけて欲しい」と言うがトーマス・ウェインに殴られ絶望の淵に突き落とされてしまう。
家に帰るとアーサーに警察からの電話が。
アーサーは警察に疑われている。
また電話が鳴ったが今度はマレー・フランクリン・ショーのスタッフからだった。前回のアーサーの映像に反響があったことから出演オファーが来たのだった。アーサーは出演を快諾した。
アーサーは真実を確認するため、過去に母親が入院していたアーカム州立病院へ行き、母親のカルテを調べるようスタッフに頼んだ。
そこには、母親が妄想性障害を患っていること、アーサーが養子であること、アーサーが虐待を受けていたことが記されていたのだ。
アーサーはスタッフからカルテを奪い走り出す。
非常階段に逃げ込み、カルテの中を自分の目で確認する。
そこにはやはり悲しい真実が記されていた。
しかし皮肉にも彼は笑い出してしまうのだった。
悲しみの雨に打たれながらアパートに戻り、ソフィーの部屋の椅子に座って待っているアーサー。
それを見つけたソフィーは怯えた顔で言う。
「確か名前はアーサーだったわよね」
「部屋を間違えている」
「子供が寝ているから出て行って」
そう、これまでのソフィーとの楽しい思い出は全てアーサーの妄想だったのだ。
※黄色のアンダーラインマーカー部分が全てアーサーの妄想
全てを無くしたアーサーは、裏切られた母親を枕で窒息死させる。
マレー・フランクリン・ショーへの出演
マレー・フランクリン・ショー出演の当日。
アーサーの手には若かりし頃の母親ペニーの写真。
その写真の裏には”君は美しい”と言うメッセージと「TW」のイニシャル。
アーサーは写真を握りつぶした。
髪を緑に染め、ピエロのメイクをしていると元同僚の2人ランダルとゲイリーが家に来る。
母親ペニーが亡くなったことを聞き、励ますために手土産を持ってきたと言うが、ランドルは拳銃をアーサーに渡したことで自分が捕まらないように口裏を合わせに来ていたのだ。
アーサーは隠し持っていたハサミをランドルの首元そして目に突き刺し、壁に何度も頭を打ち付け殺害する。
アーサーにずっと親切だったゲイリーは逃した。
マレー・フランクリン・ショーに向かう途中、階段で優雅に踊っていると警察に見つかりアーサーは逃げ出す。
駆け込んだ電車の中で、アーサーは刑事から逃げるため車両を移動する。
電車内は、大規模デモに向かうピエロで満員になっていた。
刑事がアーサーを追いかける。
アーサーが一人の乗客のピエロのお面を取ると、お面を取られ腹を立てた乗客がアーサーを押すが、ぶつかった別の乗客に殴られ喧嘩が始まる。周りは囃し立てる。
警察は銃を持ちながら逃げるアーサーを追うが、喧嘩している人混みをかき分けている最中に銃を発砲してしまう。
警察は周りの乗客に取り押さえられアーサーは無事マレーフランクリンショーの会場についたのだった。
出演前、楽屋でマレーと対面したアーサーは自分を「ジョーカー」と紹介するよう伝える。
「ジョーカー」の名は、以前アーサーの映像を流した時の放送でマレー・フランクリンがアーサーのことをそう言っていたのだが本人は全く覚えていなかった。
ジョーカーの誕生
マレー・フランクリン・ショーの本番が始まった。
マレー・フランクリンは「コメディアン、ジョーカー」のジョークを小馬鹿にして会場の笑いを取る。
アーサーは唐突に地下鉄殺人のピエロは自分だと言う。
マレー・フランクリンから最低の人間だと言い放たれたアーサーは、
「君も最低な人間だ。僕をバカにするためにここに呼んだんだろう?」
と言い、生放送中にマレー・フランクリンを躊躇なく射殺した。
警察に捕まったアーサーを乗せたパトカーは、ピエロだらけの大規模デモの中を進んでいた。
その時、突如横からパトカーに救急車が激突する。
衝撃で意識を失ったアーサーは、救急車から降りてきたピエロのお面をかぶった二人組に車から引きずり出され、パトカーのボンネットの上に寝かされる。
その頃、激化するデモの中をトーマス・ウェイン一家が逃げようとしていたが、ピエロのお面をかぶった男に見つかり、息子ブルース・ウェイン(のちのバットマン)の目の前でトーマス・ウェインとその妻マーサが射殺されてしまう。
アーサーが意識を取り戻すとアーサーはピエロのデモ隊の群衆に囲まれていた。
立ち上がったアーサーは自分を崇める群衆を見て高揚しボンネットの上で陽気に踊り出す。
ピエロの化粧は雨で落ちかけている。
アーサーは口の中の血で唇を描いた。
《悪のカリスマ=ジョーカー》の誕生である。
エピローグ
その後、場面は変わり病院でカウンセリングを受けるアーサー。
突然笑い出すアーサーに対して
「何がおかしいの?」と女性カウンセラー。
「新しいジョークを思いついたんだ」
「聞かせて」
「君には理解できないよ」
病院の真っ白な廊下を軽快に歩くアーサーの足跡は真っ赤な血で染まっていた。
Fin…
映画「ジョーカー」最後に
いかがでしたでしょうか。
突然笑い出してしまう病、世間からは気持ち悪いと存在を否定され、自分はこの世の中に存在しているのだろうかという不安に悩まされ続けてきたアーサー。
ジョーカーが彼本来の姿なのでしょうか。
ゲイリーが同僚にバカにされ皆に笑われるシーンがありました。
あの時アーサーも一緒に笑っており、病によって笑ってしまったのかと思ったのですが、
廊下を曲がったところで自ら笑うことをやめました。
あれは嘘笑いだったのでしょう。
人と笑うポイントがズレているアーサーでしたが、自分の友人を嘲笑うことは決してなかったのです。
ジョーカーになったとしても、やはり彼の真実の姿は綺麗な心の持ち主なのではないでしょうか。
この映画は、二度、三度と観るたびに新たに感じるものがあるかもしれません。
あなたがアーサーの立場だったとしてもジョーカーになってしまったのでしょうか。
僕はもう一度劇場でこの「ジョーカー」を観たいと思います。
では。